みんな元気ですか![]()
昨日の続き・・・![]()
すぐにジュンと連絡がついた。
僕たちはパリの真ん中マレー地区にいる。
先ほどのコンコルド広場からここまでゆっくりと歩いてきた。
セーヌ川の中州にあるシテ島のノートルダム大聖堂の裏手で彼女を待つことにした。
そこは水辺のプロムナード。手を伸ばせば流れる川に触れることが出来る。
意外なことにラヒーリオは都会の真ん中を流れる川を見たことがなかった。
セドナにはほとんど雨が降らない。だから近くに大きな川がない。
アリゾナにある近くのグランドキャニオンに出かけた時に見る川はよく知っている。
そこにはコロラド川が流れている。
でもそれは都会の中を流れる川と全く違い大自然の中を自由に走る川。
まるで大地を走る龍みたい。時には激しくあばれる。
こんなにおとなしい川はラヒーリオにとっては珍しいらしい・・・
都会の川は大自然よりも人間の悲しみや喜びを見ている。
人々の生活と共にある。
時には悩める人間の話し相手にもなる。
川はそうすることによって人間の苦しみや悩みを水に流してあげるんだ・・・
すると人は気持ちが楽になる。
だから川には楽しそうな人間は話しかけてこない。それは日の光やそよ風の役目・・・
セーヌはそんな人たちを長い間見て来た。
パリは恋の街。
だからセーヌには恋の悩み相談も多いんだ。
ほかにも老人のやりきれない孤独。
そして人の数だけのいろいろな悩みごと・・・
でも人はそれをセーヌが解決してくれたとは決して思わない・・・
人はセーヌが本当に聞いているとも知らずに話かける・・・
それがセーヌの流れ・・・
(あっ、詩人の僕がもう止まらない・・・かっこよすぎるう
)
人間とのかかわりをラヒーリオはまたまた川の流れに洞察する。
相変わらず彼は鋭い・・・
ジュンがやって来た・・・
こぼれるような頬笑みをうかべて。
ジュンは相変わらず本当にきれい。
しばらく見なかったから忘れそうになっていたけど彼女の美しさは息をのむほど。
清純なきれいさに磨きがかかってきたみたい。
僕は一瞬何を話せばいいのか忘れてしまいそうになる。
でもそれを気づかれないように咳払いをする。
そしてハレアカラ以来の挨拶もそこそこに僕とラヒーリオはパリに来た目的を話した。
ジュンは途中でおよその前振りの話を理解するとにっこり笑って僕達をマレー地区のカフェに誘った。
そこでゆっくりと話を聞くつもりらしい。
僕はそうだよねって思った。
パリにいるからには、おのぼりさんじゃないけど、一度はカフェでエスプレッソだよねって思った。
でも僕たちのテンションはまだジュンには移っていない。まだ肝心のビジョンの事を話してないから・・・
ジュンは人通りのそれほど多くない裏通りの心地よさそうなカフェに僕たちを誘った。
穏やかな日の光がさしている。
その前に僕たちは人間に姿を変えることにする。
精霊はこんなことは朝めしまえ・・・
季節は初夏。
だからそれにふさわしい若者ファッション。
ジュンは薄でのタンクトップとジーンズに姿を変える。
長い髪が丸い肩から風になびく・・・
僕ははっきりとわかるジュンの体の線にまたどぎまぎする。
一瞬見とれてニヤニヤしてしまうがハッとして気を取り直す。
ラヒーリオはスタイルをどうしたらいいか分からずにボーっとしていた。
まだネイティブアメリカンのまま・・・
さすがのラヒーリオもパリでは田舎の素朴な青年みたい。
それを見てジュンが素早くコーディネートを考えた。
彼はピンクのカーディガンを肩からかけてちょっと石田純一スタイル・・・
とってつけたみたい・・・
僕はベージュのコットンスーツにパナマ帽・・・(これって上海テンゾースタイル)・・・
僕も少しはイケメンに見える(・・・と思う)。
二人とも少し笑えるけど急に決まったものだから仕方ない。
通りに面したカフェの椅子に3人で坐る。
気のよさそうなギャルソン(ウエイター)がニコニコしながら注文を聞く。
「クデジレブ?(何にしますか?)」
ジュンがエスプレッソを3人分頼んだ。
苦味のあるドゥミタスカップのコーヒーが喉にしみるけど本当においしい。
3人はあたたかい日の光を楽しんでいるような雰囲気で、人に気付かれないように当たりさわりのない会話をしているようなふりをする。
僕は早速セドナでラヒーリオの導きによってマリア様に見せてもらった近未来の話をした。
もちろんビジョン電送方式で・・・
そしてそれを最後までみることが出来ずに途中で終わったことも・・・
と言うよりはマリア様は僕たちに宿題を出したんだ。
その先は自分たちで探すようにと。
それを僕たちはどうしても見たいと思った・・・
すべてを理解したジュンもそれは同じだった・・・
この続きはまたね・・・![]()
(パリとセーヌとジュヌビエーブ・・・思い出して僕しみじみ~
)

