みんな元気ですか
きのうのつづき・・・
「あそこを見に行こうか・・・」とラヒーリオが言った。
あそことはずっと向こうに見える黒島の沖・・・
やまと大陸がかろうじて残したその当時の文明の痕跡。
僕は静かな興奮を覚えて彼に聞き返す・・・
「それが出来るなら是非・・・
でもどうやって・・・」
「心配いらない。
僕と一緒に来れば大丈夫」・・・と彼はこともなげに言う。
「それに僕には友達もいるし・・・」と彼は謎めいて言った。
僕は聞き返す・・・「友達・・・って?」
彼は僕に返事をする代わりに軽くするどい音の口笛を鳴らした。
すると目の前の崖の下の海に群れから離れて
2頭のイルカが近寄って来た。
僕たちは海の上まで崖を下って降りて行く。
正確にはふわりと飛びながら海岸までおりて行った。
僕たちは精霊・・・そんなことは何でもない・・・
ラヒーリオは僕にその2頭のいるかを紹介した。
「これが僕の友達・・・
こっちがワクーマ・・・10才の男の子・・・
ほら鼻の頭に白い輪っかのようなマークがある方。」
輪のマークだからワクーマなんだ・・・って僕はなんとなく思った・・・。
こっちがつきの・・・7才の女の子・・・
尾びれに月と星のしるしがついている方。」
こっちは月のマークだからつきの・・・ってなんか分かりやすい
・・・といってラヒーリオは僕にその2頭のイルカを紹介した。
僕はそのマークのおかげですぐに彼らを見分けられるようになった。
その子たちはとても人懐こく・・・と言っても僕たちは精霊だけど・・・
僕たちの事がまるで見えているよう・・・
と言うよりはっきりと見えているのが分かった・・・。
ラヒーリオはさらに初めての事で少し困惑している僕に・・・
「話しが出来るから少しおしゃべりしてみたらどうだい。」・・・
と言った。
話をしろってどうやって・・・と僕が少し戸惑っていると
いきなり頭の中に言葉が響いてきた・・・
「こんにちは・・・僕たちの言葉が分かるなら
にっこり笑って見てね・・・」って。
それはとても親しそうで温かみがあった・・・。
もちろんこの子たちが話しかけているのも分かった。
だから僕はうれしくて彼らに思わず笑いかけた・・・。
すると彼らは「ありがとう・・・これで友達成立!」・・・
と言っていきなり目の前から姿を消して深く潜ると・・・
その勢いで2頭で水面に思い切り高くジャンプした。
彼らは心からのうれしさを体いっぱいに表している・・・。
僕も精霊のはしくれ・・・
彼らの言葉が本当は単語をつないだ言葉じゃなくて・・・
音声を写真か絵のようにして大容量の情報を一挙に伝える・・・
つまりビジョンで話をしていることがすぐに分かった・・・。
僕はこれがまた新たな冒険の始まりだなんて・・・
この時はまだ考えてもいなかった・・・
この続きはまたね・・・
(友達って・・・友達って・・・本当にいいなっ・・・シミジミ~)