みんな元気ですか
前回の続き・・・
教授もこの曼荼羅のビジョンに驚愕をおぼえていた。
彼は科学者・・・そして科学者の興味はジョアンの分析と少し違っていた。
これはまさに曼荼羅の原型。
そしてこのクリスタルはまさに金剛界曼荼羅・・・。
教授は金剛の意味を考えた。
金剛とは通常ダイアモンドを意味する。
ダイアモンドとは地球上に存在する物質の中で最も硬い物質。
それを金剛石と呼ぶ。
しかしダイアモンドには弱点がある。
ダイアモンドは炭素原子からなる。
つまり炭とおなじ構造を持つ。
だから熱に弱いので火事に合うと燃えてしまう。
しかし最も強いと言う意味で金剛界曼荼羅がその名前の由来にしたのだろうか。
教授はその意味をひもといた・・・。
金剛界曼荼羅とは最強の悟りを得る所から来た曼荼羅。
そして金剛とは・・・まさにこのクリスタルの事。
硬さではダイアモンドにその順位をゆずる・・・
しかし永劫不滅という意味では
このクリスタルに勝るものはない。
なぜなら自己修復が可能だから・・・
現に数万年もの間このように完璧な形を保っている。
つまり金剛界曼荼羅とはやはり・・・
不滅の悟りという意味だった・・・。
しかもそれはおとぎ話の中のものではなく
この具体的な物質をもとにした名前の由来があったのだ・・・と。
教授はイルカ達が贈りこんでくるビジョンに
賛辞に近いものを感じた。
つまりこの考えが正しいという事に賛同を得ている・・・。
だが教授はそこで手放しでよろこんでいるわけにはいかない・・・
それではその最強不滅の金剛界曼荼羅の胎内に
はぐくまれている胎蔵界曼荼羅とははたして・・・
どのような物なのか・・・
どのような意味を持つのか・・・
どんな働きをするのか・・・
教授の緊張感はすぐに他のみんなに伝わる・・・
みんなはつぎに進むための心の準備が整ったことを
イルカたちにビジョンで伝える・・・。
それを確認すると・・・
イルカは淡々と次に進もうとした・・・。
その時に予期せぬことが起きた・・・。
それまで黙って成り行きを見守っていた栞が前に進み出るとこう言った・・・。
「私はこのクリスタルを開ける方法を知っています。
どうか私にこれを開けさせてください。」
みんなが息をのむ・・・
(今度は大丈夫・・・
脳波は乱れない・・・
みんなが呼吸のリズムをつかんでいるから)
「このクリスタルを開ける方法は・・・
このクリスタルの形とその名前がヒントになっています。
その手順はその秘密を解いたものだけに
分かる仕組みになっています。」・・・と。
なぜ栞がそれを知っているのか・・・
彼女はこう付け加えた・・・
「私はアスカの都でこのクリスタルを封印するときに立ち会いました。
私は過去世でその時に最高評議会に使える神官でした。
実はこのクリスタルをデザインしたのも私でした。
そのことを先ほどから思い出していました」・・・と。
彼女はいまや近寄りがたい位に高貴な表情を見せている・・・
そして精妙な波動を体中から発している・・・。
海の中にも関わらず彼女の体からは微細で精妙な振動波と共に
淡い光が出ているようにすら見える・・・
やまとは思った・・・
あまりに精妙な波動は光と同じ性質を持つんだ・・・と。
誰も栞がその時の証人だと言う事をこの場で疑う者はいなかった。
イルカは静かにクリスタルから離れると栞にその場所を譲った・・・。
栞はイルカの代わりにクリスタルに近づくとそっと手をかざす・・・
次に栞はひざまずいて祈りの姿勢をとる・・・。
そして今までの栞と全く違った・・・
鈴をふるわすような声(脳波)でこのクリスタルの前で詩(と思えるもの)を
うたい始めた・・・
この続きはまたね・・・
(そんな時はどうするかって・・・ひたすら一緒に祈るのさ・・・っておい寝るなよ)