みんな元気ですか
ちょっと怖いかもしれないお話し・・・
普通植物は人間に優しい。
友達になると色々教えてくれたりする。
でもこんな話もある・・・
ある男の子が山で遊んでいたら
ノウゼンカズラのような花を見つけた。
普通は橙色だけどその花は少し違った・・・。
もっと毒々しい赤紫だった。
下にはたくさん蕾が落ちていた。
それもノウゼンカズラのようだったので踏んでみた。
ノウゼンカズラの蕾は踏み潰すと空気のはじける音がする。
その子は面白くて以前も良くやっていた。
でもその時は「ぐぎゃ」と何だか人の声みたいな音がした。
え?と思って、試しにもう一つ踏んでみた。
「きゃー!」
今度は子供の悲鳴のような音だった。
一気に怖くなって走って逃げ出した。
人家の近くまで逃げてから、
靴の裏は砂でこすって用水路で洗った。
白いゴム底には血みたいな色がしばらく残っていた。
怖くて、その後は山に行けなかった。
おばあさんに言っても信じてもらえなかった。
その子のある夏の思い出・・・。
こんな話もある。
女の子が走って家に帰ってきたとき
玄関の前の砂利が敷かれている前庭でザーと転んだ。
その時・・・
「あ」
「くすくす」
「痛いかな」
と、ちいさな話し声がする。
周りを見渡しても誰もいない。
声は上のほうから降ってくるので見上げると
松に絡んだノウゼンカズラが咲いて揺れてる。
あれっと思ってまた周りを見渡すと
「きこえてる?」
「まさか」
「こっち」
とノウゼンカズラのほうから声が降ってきた。
「おーい」とその子がそれに向かって呼んだら
もう声はしなくなった・・・。
ちょうど今からが季節だけど
ノウゼンカズラとは友達になれるんだろうか・・・