みんな元気ですか
ある子馬のお話し・・・
加筆再放送だよ。
時に人間は動物と友達になれる。
野生のイルカやゾウやゴリラでさえも。
心が通えば・・・。
アラスカのイヌイットのある海洋生物学者が
大きなゾウアザラシと海で何度もあっているうちに友達になった。
ゾウアザラシは本当に体が大きいんだ。
でもその人は恐れずに何度も近づいてみた。
何度目かにやっとアザラシは警戒心を解いてくれた。
その人が友達になりたくて近づいてきていることが分かったんだ。
するとある時信じられない事がおきた・・・。
その雌のアザラシが自分が捕まえたえさを彼に持ってくるようになった。
人間が野生の動物にえさをあげることはよくある。
でもその反対に野生の動物が人間にえさをあげることは本当にめずらしい。
そんな風にまるで奇跡のような事が起きることがある。
本当に心が通えば・・・。
その子は今3才。
競走馬として生まれたサラブレッド。
鼻先に白い星のマークがついてるつやのある栗毛。
幼い時にお母さんから離れて競走馬として生きていくために育てられた。
その血筋のために将来もよい成績を残すことをすごく期待されている。
そのため厩舎ではいろんな人たちがとても大事にしてくれた。
でもこれは競馬のレースの話じゃないよ・・・。
その子の事を注目していた競馬レポーターがいたんだ。
その人は子馬が生まれてすぐにとても仲よしになった。
その人はいつもその子にはなしかけた。
その子馬は特別に澄んだ目をしていた。
そして多くの表情を持っていた。
楽しそうな目。
悲しそうな目。
おなかがすいた時の目。
遊びたいときの目。
人に甘えたい時の目。
その人は子馬のそんな表情をよく理解していた。
子馬も自分の事をわかってくれるその人が大好きだった。
仲よしの合図に鼻先をこすりつける。
でもある日その時がやって来た。
訓練のためにその子はアメリカに連れて行かれたんだ。
お別れだった。
そして時が過ぎた・・・
そのあいだもその人は子馬の事を時々思い出ていした。
いまごろどうしてるかなって・・・
3年たったある日その人はアメリカに競馬の取材に行くことになった。
どうしてもその子に会いたくなって取材の予定にははいっていなかったオレゴン州の厩舎を訪れた。
3年もたったら馬は人の事を忘れるだろうなって思いながら・・・
子馬は立派なた競走馬に育っていた。
最初目があったときは誰だかわからないようだった。
その人は「あー、やっぱり・・・」とあきらめかけたんだ。
でも次の瞬間その子は信じられないといった表情でその人を戸惑いながら見ていた。
でもちゃんとわかったんだ・・・
じっと自分をみている人が僕が大好きだった人だってこと。
その子は肩を震わせるように近寄って来た。
そして白い星のマークがついた鼻先をその人のおなかにこすりつけたんだ。
昔と同じように・・・。
（ねね、僕はいつでも君の友達だよ・・・夢の中で僕の名前を呼んだら・・・いつでもそばに行くからね）
