みんな元気ですか
天使が生まれた時のこと・・・
ある日僕は夢の中でお散歩に出かけた
そこは都会から少し離れた森の中
そこで僕は見たんだ・・・
天使たちが空中で輪になって一本の倒れた木を取り囲んでいた。
そしてみんなで手をつないでとてもあたたかな響きの歌をうたっていた。
何処からかオーケストラの様な音も歌声に合わせて聞こえてくる。
それは不思議な森のコンサート
森の中の動物や昆虫ががみんなでその歌を聞いていた。
僕の友達の風さんもそこにいたんだ。
だから僕はちっとも心細くなかった。
その木はまだ倒れてからあまり時間が経っていなかった。
百年以上生きて来たようなとっても大きな木だった。
僕がしばらく見ていると一人の天使がまるで生まれるようにその木の中から出て来たんだ。
最初は木の葉っぱと同じような緑色をしてた。
そして見てる間に少しずつきれいな虹色みたいに輝き始めたんだ。
その木は多分その時死んだんだ。
でもみんなでその天使の誕生をお祝いしてた。
友達の風さんが僕のそばに来て教えてくれた・・・
あの天使はあの木から生まれたんだって。
あの木は生きているときにみんなのためにたくさん役にたった。
暖かな春には森を訪れた人間の友達になってあげた。
渇きの夏には手のひらのように上を向いた沢山の葉っぱで雨水を集めて森をうるおした。
木枯らしの秋には自分の木の実で多くの動物の命を育てた。
雪の冬には落とした葉っぱのあたたかさで小さな生き物の命を包んであげた。
あの木は森の木の中でも気高く誇り高いボスだった・・・
いつもみんなの事を考えていた。
いま自分の役目を若い木にゆずってやっと天使になれたんだ。
だからみんなでお祝いをしているんだって。
でもあの木の命が絶えるわけじゃない。
友達の渡り鳥たちにいくつか自分の木の実を託して
どこか違う国の森で再びよみがえるための準備はちゃんとしてあるんだって・・・
風さんは教えてくれた・・・
一つの死は一つの天使の誕生だって事を。
僕はなんだかとても嬉しくなった。
(森の中には友達がいっぱいいるよ・・・君だけを待ってる木もいるんだよ)