イッピーの友人に医学系大学の教授の友人がいることは以前ご紹介したことがあります。
その彼は呼吸を医学的側面から研究しています。
人間の健康と呼吸に関する分野が研究のメインテーマです。
そう言えば認知症の最初の兆候が香りをなくす
(香りが分からなくなる)事だと教えてくれたのは彼でした。
この呼吸の研究は応用の範囲が広く少し変わった研究もしています。
例えば「お能」です。
「能」は一つの究極の演劇のあり方だと彼は言います。
なぜなら演技者がすべての表情をそぎ落として面を付けて
感情を「呼吸」だけで表現するからだと言います。
なるほどと思いました。
これは外国には無い演劇の分野であり日本独特の研ぎ澄まされた技法です。
彼は「オンディーヌ」の戯曲をお能で書きおろしました。
「オンディーヌ」は水の精が人間の若者に恋をするお話しです。
近いうちにパリでの公演が予定されています。
その彼が最近くれたメールをみんなにご紹介します。
呼吸の持つ別の側面について話しています。
ご連絡ありがとうございました。返事が遅くなり申し訳ありません。 4月に入
り、新学期が始まり、大学も賑やかになってきました。すべての行事は予定通り進め
ております。 若者を創っていくことはまったなしです。
昨年大学で、ノーベル賞受賞者の講演会がありました。その中のひとりが「科学の
進歩が人類に幸福をもたらした」と述べていました。
その時の趣旨は、だから仕分けしないでくれ、ということを言いたかったようですが。
私も科学者の端くれですが、その時、では縄文弥生時代の人たちは不幸せだったのだろうか、と思いました。
彼らは素晴らしい文化を生み出していました。その文化はそこに住む人たちの社会で
作られ、その社会を構成するのは人々のつながりでした。 そして地域独特の文化が
生まれてきました。
現在、あらゆる分野でグローバルと言う言葉が使われ、イノベーションという言葉が使われています。確かに我々医学もふくめ、科学は普遍性を要求されますからグローバルであり、常に競争にさらされますから勝ち抜くためにイノベーションが必要になります。
しかしそういう中に、その地域だから生まれた、その文化の中にいたから生まれた、という科学があってもよいでしょうし、今、この日本の危機の中で、そういうことを考える人間がいても良いのではないでしょうか。
動物社会学の研究のなかに、ラットを1匹だけケージの中に飼っている場合より数
匹一緒に飼っている場合のほうが長生きするという研究があります。
社会を作っているのです。 そこで重要なのは「empathy 共感」です。 なぜ私がこの動物社会学に興味を持ったかと言いますと、生体が持つ「共感」の基本となる機構が「呼吸」だと思うからです。
動物のケージの中でも息をしていない動物がいると社会は築けなく、麻酔がかかって、眠っていても息をしていれば、社会は成り立っています。
呼吸をベースにして共感の環境を作っていく。
日本的でもあります。
長くなり申し訳ありません。 また、いろいろ話し合えれば幸いです。
以上です。
呼吸はグループで共鳴するようです。
(みんなが同じリズムで呼吸をするようになると言う意味)
そして一つの共同体の意識が形成されると言っています。
映画館で見る映画や、コンサート会場で聞く音楽はおそらく
その場が持つ独特の作用が会場の人々に
このような効果を持つのだと思います。
同じ環境を共有し、呼吸を共鳴させると
一つの感情を共有する事が出来ると言う事になります。
今世界が一つになる為の大きなヒントが
ここにあるような気がしました・・・
(ねね、分かるだろう・・・恋人同士はそうやって呼吸をそろえると心が一つになれるんだよ・・・って、随分くわしいなぁ)