神と話した作家「芹沢光治良」 終章 天の調べと神の予言

みんな元気ですかドキドキ

神の予言・・・グッド!

芹沢は庭にきれいな菜の花を咲かせてくれたN子爵邸の老欅を

たずねます。

+++

—樹が人間に話すなんて驚いた。

—自分たちもいのちがあるもの話しますよ。 ただ今まで先生に

  耳がなかったから聞こえなかったまでで・・・よかった、

  これからお互いに話ができるのだ。先生お宅の泰山木とも、

  小鳥たちの仲介で、話しているから、お宅の様子は、みな

  知っていますよ・・・

+++

その後老欅は自分の歴史を語り始めます。それどころか自分がいる

東中野界隈の事を詳しく説明します。芹沢が小説を書く題材がなく

悩んでいる事を知っていてその手助けをしようとしたのです。

それでも芹沢は書く題材に悩みます。もう86歳です。

今度書く長編がおそらく最後になるだろうと予感がします。

何か意義のある内容の作品を残しておきたいと思うからです。

次の夏、芹沢は再び軽井沢の自分の森で聞いたあの天からの声が

もう一度聞きたくなり寝椅子を出して待ちます。

すると再びあの厳かな声が聞こえます。

+++

—汝は何故神について書き始めないのだ。

     –中略–

  かつて汝は、(大宇宙を創った)神とイエスの関係について

  探求した事がある。だが、結論に達しないで、あきらめたなあ。

  言っておく、神はイエスに天くだって使命を果たさせたぞ。

  いつか、そのことは、明確に知らせる・・・

(芹沢がその声がどこから聞こえてくるのかいぶかしく思い、身じろぎを

するとその声が突然途絶えます。芹沢は実験のつもりで翌日もさらに

森で仰臥しその声を待ちます。すると・・・)

—まだ書き始めないのか。神はイエスに天下ったばかりではない。

  その以前に釈迦にも天くだったぞ。キリストの教えも、釈迦の教えも

  偉大な同一の親神の教えだ。こう言えば汝はすぐに偉そうに反論

  するだろう。釈迦の教えである仏教は、釈迦の悟りによって大成した

  宗教で、神と言う概念はないと。イエスの場合も、汝は明確な認識は

  ないものの、納得した。釈迦に関して、汝は全く無知だ。

  今はそれでいい。双方とも汝の書くときには、必ず詳しく教えるからな。

  今はただ、汝が実際に神を信じた時のことから書けばよい。急いで

  はじめなければならんぞ。いつ寿命が終るか、わからんからな。

  いそぐんだぞ。わかったな・・・

-+++

芹沢はこの言葉に自然に頭が下がってしまいます。

自分の事を自分以上に知っているものがいたことに。

このあと芹沢はこの声の事を疑う事をやめます。

そのままを受け入れたのです。

神として・・・。

その後この神との会話を最後の長編として完成させます。

書きはじめたのが、芹沢86歳の時の事でした。

さらに亡くなるまで続きの長編を書き続けます。

それが・・・

「神の微笑(ほほえみ)」

ではじまり・・・

「神の慈愛」

「神の計画(はからい)」

「人間の幸福」

「人間の意志」

「人間の命」

「大自然の夢」

「天の調べ」・・・で終わります。

96歳の時の最後の作品でした。

神は芹沢がこのシリーズを書き終えるまで

命を与えました・・・。

「生も死も

ただこの日 一日

よろこびて 生きるのみ」

まるで、新しい世界の夜明けを告げるような

輝いた声が、天にも、地にも、響きわたっていた・・・

(天の調べより・・・)

神が、まるでその日が来る事を予言しているかの

ように聞こえるのです。

世界の夜明けが・・・

イッピーの独り言

(世界は命の喜びに満ちていました・・・)

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