みんな元気ですか
不思議な光景はさらに続きます・・・
僕は目の前に繰り広げられる祈りとその祈りに合わせて
空気が精妙に変わって行く光景に見とれていた。
その光景にほとんど我を忘れて自分がその場所の空気の一部か
または自分が潜んでいる岩の一部になったような気がしていた。
僕はそれでも自分を見失わずに彼女たちの動きをじっと観察している。
その時に僕はふと思った。
彼女たちは周りの空気を祈りの波動で整えている。
その目的が何かは知らないが・・・。
だとすると・・・その場所の一部になっている僕の存在は
とうの昔に・・・つまりここに来た時の初めから
もしかして知られているのかもしれないと思った。
そう・・・彼女たちは初めから
僕がそこにいることを知っているのではないかと思った。
僕はもちろん自分の気配を静かに止めている。
だとすると彼女たちはこの光景を僕に見せているのだろうか。
あるいは僕がここにいることを知りながら
全く無視しているのだろうか。
この時はまだ僕はそんな思いの自分に気をとられていた。
そしてすぐにそんな事はどうでもよくなることを
まだ知らなかった。
僕は違う事も思った・・・
彼女たちが祈りの力で周りの波動を整えていると最初は思った。
でももしかすると
彼女たちはその場所の神聖な空気のリズムを探して
自分たちをその場所に合わせただけなのかもしれないと
僕はそのことを感じていた。
彼女たちには・・・自分たちの力で何かを変えようとするような
ある意味傲慢な気配はみじんもない。
彼女たちの動作や気配は、
あくまでも自分たちが自然の一部であると言う
謙虚さに満ちていたんだ。
そのことに気づくと僕はなぜだか自分の未熟な心が恥ずかしくなった。
と同時にそのことの意味に感動を覚えた。
僕は突然胸がいっぱいになって涙があふれて来た。
前がよく見えなくなってしまった。
だからと言って次の信じられない光景を
見逃したり・・・見過ごしたりは絶対にしなかった。
それは後で考えても想像をはるかに超える光景だった。
僕はただただ感動の気持ちで目の前の出来事を見ていた。
ココが肝心の本題の光景なんだよ。
だからこのことを僕は出来るだけ慎重に
何が起きたのか説明しなければならないんだ。
二人の女性はまだ軽く祈りの姿勢を取っていた。
先ほどの・・・周りと同調するような祈りとはちがっていた。
今度は感謝と喜びの祈りのように僕には思えた。
二人と別れた一人の女性がキラキラ光る小川の川岸に近づき
からのカゴを水の表面のすぐ上すれすれに両手で差し出した。
すると・・・
魚が飛びあがって・・・
そのカゴにどんどん飛び込んで入って行く・・・
それはニジマスのようにキラキラ光る綺麗な魚。
僕は何が起きているのか最初は全く分からなかった。
だってそんなの見たことがない。
魚が自分でカゴの中にはいるなんて。
人は自分の経験や常識を超える事が起きると
それを理解しようとしない。
もしくは・・・その意味が分からない。
僕もそうだった。
見えない釣り糸を一生懸命に僕は探した。
でもそんな物はない。
僕は心のどこかでそれを知っていた。
でもしばらく僕は何らかの仕掛けがないかと
必死になって目を凝らした。
でも探すのをやめた。
僕は自分の観念にしがみつくのをやめた。
だって見えているもの以上に確かな物はないから。
そして・・・僕が自分の観念にしがみつくのをやめたと同時に
僕には確かに聞こえて来たんだ。
カゴに飛び込む魚たちの声が。
魚たちの想いが。
それはなんと
喜びに満ち溢れていた。
その声はこう言っていた・・・
「僕たちはあなた達の食卓にのぼることを
どんなに持ち望んだことでしょう。
今やっとその機会に恵まれました
これほどうれしいことはありません。
僕たちはあなた達の細胞の一部になります。
あなた達の綺麗な髪の毛、輝く皮膚、祈りの手足、
あなた達の、すべてになることが出来ます。
あなた自身と一緒になることが出来るんです。
それこそが僕たちが長い転生を経て
やっとたどりつくことが出来る
次の魂のステージです。
あなた達は僕たちを食べる時
心から感謝をしてくれます。
そのことが僕たちはどんなにかうれしくて
どんなにか幸せで
涙が出るほど報われるか
伝えても伝えきれません。
僕の仲間は後から後から
あなたのカゴに入りたくて飛び跳ねています。
どうかカゴにはいれなかったあの子たちにも
祝福を与えてやって下さい。
そうすれば僕たちは光となって、あの子たちのために
また役に立つことが出来るんですから・・・。」
僕は確かにそれを聞いていた。
僕にはその魚たちの喜びの声が聞こえていた。
でもその姿はだんだん見えなくなって行ったんだ。
だって・・・
涙が止まらなくなってしまったから・・・
涙でかすむ目ともうボロボロの頭で僕はやっと思った。
大自然と調和するって事の意味を・・・
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この物語は一旦ここでおわります。
意識の世界は続きます・・・
(あれをみたら君だって・・・泣いちゃうかも・・・だよ)