みんな元気ですか
ダイナミック香港事情・・・
以前香港に4年間住んでいました。
そこで衣食住など香港事情を少し。
昨日は「静」がテーマ。はからずもきょうは「動」がテーマです!
ラスカルさん
にコメントで記事を書くきっかけをいただきました。
この章編集再掲載です。
香港は今頃は梅雨の季節の真っただ中でしょうか。
香港では日本より梅雨の季節が先行します。
梅雨が終わり夏になると台風の季節が来ます。
昨年香港は大きな台風に襲われました。
香港では台風が来ると公共放送や新聞で「シグナル」と呼ばれる
警戒警報を出します。
10段階に分かれていて要警戒最大値がシグナル10です。
シグナル1 警戒準備
シグナル3 強風シグナル
シグナル8 烈風あるいは暴風シグナル
シグナル9 烈風あるいは暴風風力増強シグナル
シグナル10 要最大警戒値
シグナル2、4、5、6、7、は該当なしです。
シグナル10はめったに出ませんが
昨年は一度シグナル10が出ています。
シグナル8になると会社も銀行も学校も全部お休みです。
子供たちは大喜びです。
このシグナルには外出禁止・強制帰宅などの強制力があります。
昨年の台風では物的な被害は少しありましたが人的な被害は
全くありませんでした。
おそらくこの警戒システムのおかげだと思います。
台風になると香港での生活を懐かしく思い出します。
香港は土地が狭いので高層マンションが林立しています。
鉛筆のようにそびえていて耐震構造にもなっていません。
ペンシルビルと呼ばれています。
香港では地震はもう300年くらいきたことがないそうです。
その高層マンションの上の方の階ではベランダの大きなガラスが
風をはらんで大きくしなります。
帆船の帆のようになるんです。(はい、すこしオーバーです・・・あは!)
日本ではあまり経験しない恐怖感があります。
どの高層マンションからもだいたい海が見えるので海上が
大しけなのがわかります。
忘れもしません・・・
台風の時に目の前で海から2本の竜巻が起こりました。
まるで龍神が2体同時に空にかけのぼって行くようでした。
海の中に棲むものを全部巻き上げて上って行くんです。
大きな魚が降って来ます(はい、これも少し大袈裟です・・・あはは!)
壮絶な光景でした。
イメージがこんな感じです。
これが住んでいる家のベランダから近い距離で2本も上がったんです。
その時の竜巻は香港の新聞にも載りました。
台風の光景でもう一つ強く印象に残る光景があります。
以前こんな事を書いたことがあります。
香港のバスは2階建て。
重心が高く横風に弱いんです。
だから必然的に嵐の時・・・雨や風が強くなればなるほど
なんと窓と言う窓を全部開け放ち
つまり全開にして走るんです。
少しでも横風の影響を軽減するために。
香港の知恵です・・・!?
もちろん車内はずぶぬれ・・・どころか外と同じです。
つまりバスの車内もすごい「嵐」です。
香港は非常に急な坂道が多いんです。
まるで崖のような斜面を登る細いクネクネ道を
窓を全開にしたバスが相当なスピードで走ります。
おそらく9割の人は敬遠すると思います。
それを歓迎する残りの1割の乗客は・・・子供です。
スリル満点だからなんです。
運転手もこんな時は恍惚の表情でバスを運転するんです。
嵐の中を激しい雨や風にさらされて結構なスピードで走るんです。
この時ほど彼の生きている「あかし」が自分で確認できる時は
おそらくほかにはないんだろうと思ってしまいます。
って言うかすごく・・・・あっあっあっあぶないぃぃぃ~んです。
それでも台風のたびに2階建てのバスが無残に横倒しに
なっているのが一度は新聞の記事になります。
多分香港では・・・あの絶対に倒れないバスが倒れた
と言う事が記事になるんだと思います。
しかし台風との戦いに敗れた運転手の
表情が目に浮かぶようです。
これ以上ない良い戦いの相手・・・手ごわい相手
に恵まれた自分の幸運に感謝しつつ
さらに次の・・・もう一度あり得ないほど強い相手に
出会う幸運を祈る彼の「恍惚」の表情が。
まるでへミングウエイの小説「老人と海」の中でモ―ビ―ディック
という名前のクジラを求めるような。
「自分が負けるはずはない」と言う自負と
しかし目の前に横たわる自分の分身の「巴士(バスの事)」を
見つめている彼の表情が・・・
そうなんです。
香港のバスの運転手は「巴士」を運転する「戦士」
になるんです。
台風の時期が来るたびに・・・。
(もういや・・・絶対乗らない・・・オエッ)