みんな元気ですか
前回の続き・・・
ケンタはその女の子と友達になった。
そのきっかけはこんな事があったから・・・
ある日妹のクッキーと一緒の学校からの帰り道
手に持っていたアヒルの人形をクッキーは自分で落としてしまった。
それを拾おうとして道路に手を伸ばした時に
クッキーはつまずいて車道にころんでしまった。
そこは村でも一番車の往来が激しい県道。
ケンタがつないでいた手を離した瞬間の出来事だった。
クッキーはあわてて歩道に戻ろうとしたが
両足がまだ車道に残っていたその時に
一台の大きなトラックがすごいスピードで近づいてきた。
もうブレーキを踏んでも間にあわない。
大きなトラックのタイヤがきしむ嫌な音が大きく響いた。
その時ケンタははっきりと見た。
あの女の子が着かず離れず学校から一緒に
歩いていたのは知っていたが
クッキーが転んで車にぶつかると思った瞬間に
その女の子がクッキーを抱き上げて歩道に連れ戻した。
もちろんケンタもクッキーを助けようとしたが
ケンタがそう思った瞬間に女の子はもう動いていた。
と言うよりその女の子は瞬間移動していた。
空中を・・・。
両手でクッキーを抱きかかえるとふわっ~と歩道に戻ってきた。
でもそのスピードは人間の速さとは明らかに違っていた。
ケンタにはその異常なスピードが分かった。
でもそれがなぜ自分に見えたのかは分からなかった。
周りでそれに気がついた大人たちが騒ぎ始めていた。
何が起きたか理解できずに・・・。
ケンタは何度もその女の子にお礼を言った。
ショックで泣きじゃくるクッキーにも頭を下げさせてお礼を言わせた。
そしてケンタは今見たことの説明を求めようとした。
「どうやったんだ」・・・って。
その子はその質問には直接は答えなかった。
そしてこう言った・・・
「ケンタ君には見えたんだね」・・・って。
ケンタにはその言葉の意味が分かった。
その速さは通常の人には見える事がないことを。
そしてその子には特殊な力があることを。
ケンタは思いだしていた
あの夏の日に河原で見たあの光景を・・・。
続きはまたね・・・
(君は・・・あれを見ちゃったんだね・・・見てはいけない物を・・・って、おい、なにセリフきめてんだよ)