みんな元気ですか
たまには江戸のかるい怪異話しを・・・
このおはなしは甲子夜話(かっしやわ)という江戸時代に
書かれた随筆集に登場する話の一つです。
「甲子夜話」とは江戸研究家や歴史学者の間ではかなり
評価の高い随筆集ですが一般にはあまり知られていません。
教科書に取り上げられることもおそらくないと思います。
しかし小説のネタなどには頻繁に取り上げられています。
この随筆が文政4年11月17日(1821年12月11日)の
甲子(きのえね)の夜に書き起こされたのでこのタイトルが
ついています。不思議な話が満載です。
この随筆集では、今から200年前には見えない世界が
見える世界と身近に共存していた事がよくわかります。
原文は当時の「そうろう調」の文体が使用されているのですこし
読むのに時間がかかりますが慣れると意外に味わいが深い
読み物です。江戸時代後期に肥前国平戸藩第9代藩主の
松浦清(号は静山)により書かれた随筆集です。
随筆といっても知人友人から見聞きした話が中心です。
松浦静山(まつらせいざん)も時おり時代小説の中で江戸の
武家のご隠居として登場します。
「妻は、くの一」という小説では大川(今の隅田川)の東、
本所中の郷に住むご隠居です。
ご隠居ではありますが武術の達人です・・・。
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以下はその「甲子夜話」からの一節です。
「ヒキガエルのひきよせの術」
自分(静山)の主治医の文石は越前の生まれで、
彼の故郷では、村じゅうの家が蚕を飼っていました。
文石が蚕を観察していると、飼箱の中から蚕が跳り出ることが
何度もあるので、不思議に思って農夫に告げると、
「ヒキガエルのしわざだよ」と言う。
辺りの草の中を捜すと、はたして大きなヒキガエルが
見つかったそうです。蚕は普通飛び跳ねるものではありません。
ヒキガエルが「気」で惹きつけたために、
自分で飛び出たのです。
このことをある寺の住職に話したところ、
住職もこんなことを言っていました。
「寺のお堂の軒下に蜂の巣があります。ある日、
巣から蜂の子が自ら出て落ちていくので、不審に思って
下を調べると、床下にヒキガエルがいました」
蜂の子を餌に食べようとしてヒキガエルが
引き寄せの術を使っていたのです。
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その事からそのカエルに「ヒキガエル」という名前が
ついたのかも知れません・・・(あは!)
(念力を練習するボク・・・食べ物~~こっちにこい)