みんな元気ですか
前回の続き・・・
精霊たちはこのスカルの背景を一通り説明するとこう言った・・・
先を急ぐことにします。
もし理解できない部分があればおそらく栞さんがそれを
充分に補ってくれると思います。
栞は微笑んでうなずく・・・
次に精霊のふたりはあらかじめ教授に頼んであった道具のセッティングを確認する。
スカルは研究室にあった透明なガラスのテーブルの上に
慎重に固定されて置かれている。
部屋の照明が落とされ暗くなる・・・
反対にスカルの下からあたる光があたりをほの暗く照らす・・・。
みんなはその時初めてスカルがプロジェクターのように
使われるのだと言う事に気がついた。
スカルの下の光源が徐々に明るさを増す。
それは電気の光だけではないような明るさになって行った・・・。
ラヒーリオはスカルの前に立つとこう言った・・・。
「これからスカルに時の秘密を見せてもらうことにします。」・・・と。
二人の精霊ははひざまずくと祈りの儀式を始めた。
古代の神殿のようなイメージの音楽がかすかに聞こえて来る。
栞はすでに祈りの体制をとっている。
それに合わせてほかの全員が祈りの態勢をとる。
しばらくするとスカルの台座の下で炎のような青白い光が揺らめき始めた。
どのような仕掛けがあったのか分からなかったが
それは精霊の祈りに合わせてゆらめいている。
その光は熱を持っていない。
密閉された部屋の温度が全く上がらない事でそれがわかる。
しかも酸素が消費されている気配はない。
教授にはそれが祈りの結果の念による炎だと言うことが分かった。
教授は念炎の事は知っていた。
念による炎や光を発する能力をパイロキネシスと言う。
これはラヒーリオのパイロキネシス。
教授もダンもそれを聞いたことはあるが見るのは初めてだった。
意外にジョアンにとってこれはなじみ深いものだった。
密教では「護摩焚き」や「火伏せの術」や「火渡り」等火を扱う秘術は
それほど珍しいものではない。
ちなみに火伏せの術とは火事など火の方向や勢いを制御する密教の秘術。
もちろん栞は今やこのことを完全に理解している・・・
と言うより思いだしている。
目を白黒しているのはやまと一人・・・
でも現実を受け入れるしかない・・・
次の瞬間用意されたスクリーンの一面に
映像のようなものがゆっくりと現れ始めた・・・
最初はぼんやりと・・・しかしだんだんはっきりと・・・
それはみんなが黒島に到着した直後の映像だった。
みんながその映像に衝撃を受けた。
この映像はカメラによるものじゃない。
みんなの特徴がはっきりとわかるようなかなり近い距離から撮られている。
スカルの台座の下の念炎の光がまっすぐに上に向けてスカルに当たっている。
その光がスカルを通して眼窩からプロジェクターのように正面の壁に映像を結んでいる。
みんながその最初の映像の意味をすぐに理解した。
何かまだ人間の知らない力によってスカルを通して時空間を見ることが出来ることを。
そしてみんなはこれがまだプロローグにすぎないことをその映像で理解した。
同時に古代の叡智ががどのようにしてこのスカルを作ったのか想像する。
精霊の説明のように・・・
彼らはおそらく石と会話することが出来た。
そして水晶とも・・・
彼らはもちろん念炎を作り出すことも出来た。
おそらくこのために彼らは石に対して相当の強い思いやりを施したであろう。
石はそのシャーマン達の愛に応えた。
精霊は石にも優れた叡智があること・・・
高い意識があること・・・
そして交信する能力があること・・・
を説明してくれた。
それが今実感としてせまって来る。
そして石は自分が知る未来の情報をどのようにしたら
彼らが見ることが出来るかを自分の叡智を持ってすべて教えた。
・・・その結果クリスタルスカルが出来上がった。
そのスカルが放つ外見とは反対の
とても深い愛情の波動が僕らにそのことを教えてくれた・・・
このスカルは石の叡智と神官達の深い愛情のかたまりなんだ・・・
スカルは石の「思い」をもっとも強い形で示すための形なんだ・・・
そのことを思った時にみんなには
逆に当時の神官たちの石との愛情の絆と・・・
その映像が見えて来るような気がして胸に詰まるものがあった・・・
みんなの思いやりを感じて栞の目には光るものがいっぱいたまっていた・・・。
スカルがすでにみんなの心を限りなくやさしい波動で包み始めていることに
みんなはまだ気がついていなかった・・・
栞と精霊以外は・・・。
この続きはまたね・・・
(石の愛情はそんなに深かった・・・フカキョン・・・あは)