みんな元気ですか
植物シリーズだよ・・・
友達の風さんに聞いたお話し。
日本の建造物は昔から樹木を建材として生かして来ました。
樹木を伐採した後も建造物として文字通り第二の命を吹き込みました。
これに対してヨーロッパでは石を材料とした建造物が主流になっています。
石が建造物の材料として主流を占めている理由は二つあります。
地続きのヨーロッパでは常に隣の国との戦争が絶えませんでした。
樹木の家屋ではすぐに敵に燃やされてしまいそれが弱点になります。
国を治める王は常に樹木を材料として建造物を作ることを禁じました。
それに欧米の山は岩山が多く良質の樹木が育つ環境ではありません。
海外を旅行すると日本のような緑の山が少ない事に違和感を覚えます。
建築材料になるような樹木が一部を除き一般的にあまり育たないのです。
一方日本では雨が多く樹木も豊富で身近にあります。
これは遠い昔の先人の努力によるところも大きいのです。
スサノオ・二ギハヤヒの時代に盛んに植樹が行われました。
大陸からたくさんの樹木の種や苗が運ばれた記録があります。
それ以前の日本はそれほど豊かな大自然ではなかったのです。
砂鉄の採取のために鉱害によるハゲ山もありました。
スサノオと二ギハヤヒはそれを緑の山に復活したのです。
参照→スサノオとやまたのおろち
日本中どこに行っても彼ら親子の功績をたたえた神社が
(樹木で)建てられています。彼らは農業の技術を教え稲作を
奨励しそのための灌漑用水を引き当時の食糧問題もおおいに
改善され進歩したのです。そして神社には樹木が植えられました。
それによりスサノオ・二ギハヤヒの功績を偲んだものと想像します。
神社のある場所を杜(もり)と呼ぶ理由の一つがこれです。
たとえば「鎮守の杜」・・・のように。
樹木の建造物には多くの匠の技と人間の叡智がこめられてきました。
古くから為政者は良質の樹木の建材を日本中に求めました。
屋久島の杉の大木は豊臣の時代から本土に運ばれていました。
イルカで有名になった御蔵島(みくらじま)では良質の柘植(つげ)
の木が取れました。江戸時代から御蔵島の柘植の木は珍重されました。
かたくて丈夫な材質は櫛や入れ歯の材料にもなったのです。
ちなみに平安時代から柘植の木が入れ歯の材料として使われていた
記録があります。その入れ歯のことを木床義歯(もくしょうぎし)といいます。
世界最古の入れ歯の技術でした。
ちなみにアメリカの1ドル紙幣にある初代大統領のジョージ・ワシントンの
口は一文字に結ばれています。金属製のバネ付きの入れ歯をかみしめて
いないとあごが半開きになってしまうからだそうです。
樹齢千年の樹木で作った建物は千年の寿命を持つとされます。
法隆寺の五重塔は世界遺産に登録されています。
1300年位前に作られた世界最古の木造建築です。
中心の柱は4本のひのきを組合わせた寄木方式で出来ています。
釘は一本も使っていません。
長い時の経過と共に木はねじれます。
そのねじれの性質を逆に強度を増すような組み合わせに利用して
寄木の構造で中心の強い柱が作られています。同時に過去何度も
経験した地震にも耐えるように柔構造設計されています。
地震の揺れを各層階が吸収する構造になっています。
安芸の宮島の厳島神社の社殿はどんなに海が荒れても水が奥まで
届かない構造になっています。この厳島神社も世界遺産です。
法隆寺の五重塔と厳島神社の共通点は世界遺産と言う事の
ほかにもあります。
それは大自然の力を知り尽くして・・・
それに対抗するような構造ではなく・・・
大自然の力に柔らかく対応するような構造になっていること・・・
この二つの建造物だけでなく日本の各地にそのような歴史的
樹木による建造物が現存します。
先人が築きあげた大自然と調和する匠の技・・・
僕は思んだ・・・
これも樹木と・・・
大自然に対する・・・
もう一つの・・・愛の姿だって。
(見えないけど・・・愛はここにもあるんだ・・・大自然に踊りで祈りをささげるボク)