みんな元気ですか
水たまりは時には異次元への入口・・・
かたいお話しが続きますので少し息抜きです。
「水をくぐると違う世界へ」というつながりです。
以前にこんなお話しを書いた事があります。
ちょっぴりトワイライト・ゾーン系です。
鏡の中に別の世界があると思ったことはありませんか。
この世とほとんど同じなんだけど
何かが違うんです。
例えばこっちの世界では右利きが多いんですが
向うの世界では左利きが多いんです・・・
なぜって・・・それは鏡の世界だから。
物語はここから始まります。
トワイライトゾーンはいつも夕暮れ時・・・。
ケンタとクッキーは仲良しの兄妹。
二人がまだ小さい頃いつも自分たちの家の裏手にある
原っぱで遊んでいました。
その原っぱは小学校の校庭の半分くらいある広さでした。
わきにはバイパスが通っていて車の往来が途絶えませんでした。
その原っぱには不思議なことにいつも水たまりがありました。
その一つは子供たちの間で底なし沼って呼ばれていました。
友だちと三輪車を投げ込んだらゆっくりと沈んで見えなくなった
ことがあったからなんです。
ある秋の日そこに妹のクッキーがはいったんです。
落っこちたんじゃなくてその中にはいって行ったんです。
原っぱにある沼というか見てくれは水たまりでした。
野球をやってるときにボールがその沼に落ちたから取りに入ったんです。
ケンタはびっくりして叫んだ・・・
「そこは底なしだからはいっちゃだめだー」
一瞬クッキーはお兄ちゃんの方を振り向いたように見えました。
もう夕暮れが近くてあたりはあまりよく見えませんでした。
友達も三輪車を投げ込んだのは見ていたのでパニック状態でした。
でも・・・おそかった。
クッキーはボールをもったままその水たまりにゆっくりと沈んでいきました。
そして見えなくなった。
クッキーを助けようとしてみんなで覗き込んだり
棒を突っ込んでみたりしたけど、何をやってもダメでした。
その水たまりは見てくれの通りただの浅い水たまり。
ケンタは泣きじゃくりながら家に帰ってお母さんにそのことを告げました。
クッキーが沼に飲み込まれたこと。
その沼で以前友達の三輪車が沈んだことも。
しかしお母さんの反応は意外なものでした。
ひとこと・・・「あの子はね・・・向うに帰ったんだよ」とだけ言った。
ケンタは思った・・・向うに帰るって死んじゃったってこと。
それとも生きててどこかの世界に行ったってこと。
お母さんは答えてくれなかった。
ケンタはそれがとても変だと思った。
そんなのおかしいよ。だって妹が目の前でいなくなったんだよ。
探しもしないどころか、落ち着いていてちっともあわてる
事もなく手を止めることもなく日常の生活の続きをしている。
これってどこか変だ・・・とケンタは思った。
そう言えばケンタの心に何か引っかかるものがあった。
この世界は変だ・・・。
どこって上手く説明出来ないけどどこかが微妙におかしい。
たとえば
自分の住んでいる家は分かるのに
家の番地どころか、その街の名前が分からない
道を歩くおとなに話しかけても誰も返事をしない。
公衆電話にお金を入れたら余った分のお釣りが出て来る。
もっとおかしいことには
子供たちのだれも自分の誕生日を知らないんだ。
ケンタは何がなんだか分からなくなりそうな頭で
必死に考えた。というより何かを思い出そうとしていた。
子供たちが誕生日を知らないということは親もそれを知らない・・・。
だとすると子供たちは親から生まれて
来たんじゃないかもしれない。
じゃあ僕はどこから来たんだろう。
そのときにケンタは思いついた。
そうだ・・・クッキーがどこに行ったのか探せばわかる。
とするとやることは一つ・・・
ボクは小さい妹探しに行くんだ・・・
続きはまたね・・・
(君にもないかい・・・水たまりにはいったら出てこれないと思った事)